建築×ライフ

渋谷の隠れたモダニズム建築 乗泉寺/谷口吉郎 

2020-02-08

巨匠 谷口吉郎による寺院建築

今日は朝7:00に家を出て、渋谷の乗泉寺に行ってきた。

朝8:00のラジオ体操とカフェタイムに誘われて行ってみたのだが、

ついた途端に、あじのある木目調の骨太なコンクリートによる

深い軒建築のただならぬクオリティに気づいた僕は、

ググってすぐにこの寺院が建築家谷口吉郎の設計によるものだと突き止めた。

まさか渋谷にこんな近代建築があろうとは。

アクセス

JR渋谷駅から南口から徒歩十分

周辺は閑静な住宅街で、そのまま歩けば代官山へと続いていく。

天気がいい日は散歩がてらに、気軽に寄れる場所にある。

乗泉寺アクセス

渋谷駅から乗泉寺へのアクセス

外観

コンクリートの庇

コンクリート製の庇

コンクリートの梁型が印象的な渡り廊下の屋根

1958年の丹下健三の香川県庁舎を彷彿とさせる

コンクリートのリブ付き柱に、組物を意識させる梁桁やその断面

杉板型枠による木目を纏ったテクスチャや、水平線の強調、深い軒と言ったように

日本建築をコンクリートで表現した

当時の近代建築の流行を体感できるディティールの目白押しだ。

この意匠を、谷口吉郎自身は千切形(ちぎりがた)と呼んだそうだ。

エントランスから引きをとった伽藍形式に

豊かな植栽と、小さな分棟を渡り廊下形式でつないだ

集落的なクラスター感が、

周辺の住宅街や起伏あるランドスケープに溶け込んでいてとてもよかった。

同時代の丹下健三が目指した一点主義的なコンクリートのマッスな存在感の

対岸にある建築の在り方だと思った。

僕が好きなのが、この妻面勝ちのファサードである。

雁行した外観

妻面勝ちの外観

浮遊する雁行した西側外壁

建物の顔である妻面(つまめん)を印象的に、シャープに見せるために、

袖壁を伸ばして、平面(ひらめん)と妻面の縁を切っているのだ。

このディテールは、同じく谷口吉郎の東京国立近代美術館にもみられる手法である。

柱のリブに樋を抱かせて設備をあらわしで収めようとする意欲も感じれたが、

経年の錆び色でところどころ目立っている箇所もあった。

設備の寿命の方が短命なのが建築の宿命でもあるのだ。

市松のサッシ

北側の市松状のサッシ

北側の本堂外壁のトリッキーな市松のサッシワークもユニークだが、

力強い構造に比べると、割付の単位がいささか小さい気がした。

それより個人的には、西側面のミニマルな枠見附のほうが

ミニマリストの僕の心の琴線には触れてくる。

桂的な雁行ボリューム跳ね出しスラブ浮遊感を強調していて、

とてもこの敷地周りの複雑な地形にあっていると感じた。

本堂の市松模様のサッシワーク

内観

ホール

本堂の特徴的な天井

肋骨的構造が露出する本堂

本堂は思っていたより天井が高かかった。

吹き抜けの大スパンを支える梁は、

現代であれば無難にプレストレストコンクリートの大梁で支えるところだが、

ここではあばら骨のような印象的な梁架構でトラスをつくって、

構造と意匠を両立させるデザインとしていた。

この肋梁の上には濡れ色の羽目板が張ってあり、

屋外の日本風な意匠とのバランスを取ってあった。

木ルーバー

テーパーカットされた内装の木ルーバー

素材の使い方にもこだわってあり

本堂の背面壁は、クロスの上に目の細かい木ルーバーが敷き詰めれていた。

先端が僅かに斜めにカットされているが、これは立面的な面積を少しでも小さくすることで、すこしでも木がシャープに、陰影をもって見えるように意図されたものだ。

本堂西側の窓とステンドグラス

本堂西側の窓とステンドグラス

すりガラスや、タイル、ステンドグラスなど鮮やかなマテリアルがはめ込まれた

本堂の窓ガラスには、モダニズムの元祖コルビュジェのロンシャンの礼拝堂の影響が見て取れる。

階段室脇の大谷石の壁面には、モザイクタイルでつくられた壁画。

息子である谷口吉生であればスクエアで割っているであろう目地

同時代の建築家や、コルビュジェがそうだったように

長方形による比例的プロポーションで解いていたところにも時代を感じる。

まとめ

谷口吉郎の息子である谷口吉生のストイックなミニマリスムデザインに比べると、

ややハードで骨太な建築観だった吉郎氏だが、

このあたたかみのある自由な素材使いは、

建物としてのトータルバランスを引き上げている需要なファクターだったと思う。

早起きが三文以上の特になった充実した休日であった。

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