こんな疑問にお答えします。
本記事の内容
映画好き建築家の僕が、スター・ウォーズの登場建築9選を建築視点で解説します
本記事を読めば、明日話せる映画/建築雑学が身につきますよ!
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スター・ウォーズ建築9選
ここからは9のスター・ウォーズ登場建築をご紹介します。
それではそれぞれ解説していきます!
スター・ウォーズ建築①タトゥイーン
「タトゥイーン」の概要
「タトゥイーン」はルークやアナキンが育ち、
師のオビ・ワンとも出会う場所で、物語の中でもキーになる名物惑星/建築です。
ちなみに、タトゥイーンのイメージモデルになったのは「アーコサンティ」という
建築家パオロ・ソレリが設計したアメリカの砂漠に実在する建築群です。

ラダー
ソレリは「アーコロジー」という思想を掲げました。
「アーコロジー」は今では都市計画や多くのSF映画のモデルとなっています。
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「タトゥイーン」建築考察:土を建材とした版築工法
タトゥイーンは、一面砂漠で日照りが強く、建材や資源にも乏しいそうです。
このような土地では、無限に存在する建材である「土」で建築が作られるのは合理的でしょう。

ラダー
半地下住居は日中と夜間温度差が少なく、省エネ性能も高いです
土で建築をつくるには、一般的には、版築工法という
万里の長城でも用いられた工法を利用していきます。
ルーク・スカイウォーカーの家として撮影された場所は
チュニジアのシディ・ドリス(Hotel Sidi driss)といって
現在もカフェとホテルとして運営中で、観光名所になっています。
「タトゥイーン」建築考察:地下住居を考える本
実は学生時代に地下住居を勉強していた時期がありました。
手元の2冊が、タトゥイーンの半地下的建築を思い起こさせてくれたので紹介しておきます。
リンク
中国にこんな地下住居があったのかという衝撃が今でも鮮明なこちらの書籍。
ルド不スキーの「建築家なしの建築」にも登場する
ヤオトンと呼ばれる中国地下住居を、実際の調査を元にした環境工学、計画学的考察と
スケッチでまとめあげます。
リンク
こちらは名著なので建築関係者で読まれた方はそれなりにいるかと思います。
地下に限らず、魅力的な集落調査を意味深な言葉とスケッチで綴ったバイブル的一冊です。
「タトゥイーン」登場エピソード
参考:wookieepedia
スター・ウォーズ建築②ジェダイ・テンプル/インペリアルパレス
「ジェダイ・テンプル」の概要
ジェダイ・テンプルはエピソード1,2,3の時期にはジェダイの本拠地でしたが、
後に帝国の本拠地インペリアル・パレスとして改築されました。
下部のポディウムと上部の5本の尖塔のコントラストが特長的ですが、
機能としては修道院、学舎、情報保管を担っているようです。
「ジェダイ・テンプル」はピラミッドがモチーフ?
監督のジョージ・ルーカスは、ジェダイテンプルにある種の神聖さを求めていたようで、
高さ260m、46階建てのサンフランシスコ最高の高層ビル「トランスアメリカ・ピラミッド」の
デザインや周囲のビルとのスカイラインや、中国のピラミッド等から着想を得たそうです。
「ジェダイ・テンプル」登場エピソード
参考:wookieepedia
https://www.starwars.com/news/from-concept-to-screen-the-jedi-temple
スター・ウォーズ建築③クラウド・シティ
「クラウド・シティ」の概要
クラウド・シティは、雲の惑星ベスピンの中心にあり、
エピソード5でダース・ベイダーとルークの決戦の舞台で知られています。
大気中に浮いているように見えますが、実は地上から細く伸びた柱によっても支持されています。
「クラウド・シティ」の建築考察:一本足の構造
クラウド・シティの細長い一本柱と扁平なボリュームのコントラスを見ていると
伊東さんの「台湾大学図書館」やF・L・ライトの「ジョンソンワックス」を連想してしまいます。
台湾大学図書館は、僕も訪れましたが、
構造は鋼管柱をFRPの型枠を用いてコンクリートを打設しているようです。
雨や地下水利用のドレンも柱に通されるなど環境にも配慮しているんです!
上の2つの建築は、見た目は近未来的ですが、重力のあるリアルな地球上に存在していますので
一本ではなく無数の柱と、その頭つなぎでつながっているので成立しています。
ちなみにクラウド・シティの柱は、「リアクター・ストーク(Reactor stalk)」と呼ばれていて
クラウド・シティからガスを輸送するためのダクトなんだそうです。
「クラウド・シティ」のモデル
こちらの記事によると、ダース・ベイダーやR2-D2を生んだ
ラルフ・マクウォーリー氏の記録によるとクラウド・シティは
「フラッシュ・ゴードン」というSFアニメから大きな影響を受けたそうです。
「クラウド・シティ」登場エピソード
スター・ウォーズ建築④ナブー
「ナブー/シード王宮」の概要
ナブーはアミダラの故郷で、エピソード1で初登場します。緑豊かな風土が特徴ですね。
シード王宮建築考察:どこかで見た、どこにもない折衷建築
シード王宮は、シリーズの中でも、デザインが最もクラシカルで、
実際にありそうな佇まいをしています。
それもそのはず、実は「カゼルダ宮殿」というイタリアに
実在する建築を撮影後、CG技術を駆使して再現されていたのでした。
↑この大階段は、エピソード1でアミダラが拘束されるシーンで使用されます。
外観は、フルCGのようですが、パンテオン的円筒形状や列柱、
ハギア・ソフィアのペンデンティブドームが組み合わさった折衷的な様式は
どこかでみたようで、どこにもない佇まいを作っていますね
ナブー/シード王宮登場エピソード
スター・ウォーズ建築⑤デス・スター
「デス・スター」の概要
銀河帝国が保有する球体の巨大母艦です。
惑星を一撃で破壊可能なレーザー砲が搭載されています。
「デス・スター」のリアルな建設費
デス・スターの建設費は、リーハイ大学の学生の研究によると、
鉄だけで85京2000兆ドルだそうです。途方もなさすぎてイメージが掴めません。。
参考:WIRED
「デス・スター」建築考察:球体建築
デス・スターといえば特徴的な球体形状ですが、元祖球体建築といえば
バックミンスター・フラーのジオテジックドーム(フラードーム)でしょう。
フラー・ドームが提案されたのは、1947年で、スター・ウォーズ公開の30年前
ということになります。フラードームはその後1967年のモントリオール万国博覧会の
アメリカ館でも建設され、いまでも現存しています。

ラダー
1960年代にアメリカのUSCで映画を専攻していたジョージ・ルーカスは
まさに影響を受けていた世代なのかもしれませんね。
また、近年では、「デス・スター」を彷彿とさせるこんな計画もあるようです。
「デス・スター」の登場エピソード
スター・ウォーズ建築⑥ジャバの宮殿
「ジャバの宮殿」の概要
ジャバの宮殿(Jabba's Palace)は、砂漠の惑星タトゥイーンに存在する犯罪王ジャバの宮殿です。
金属と石でできた宮殿で、中では色んな罠が張り巡らされ達たり、地下室で猛獣が飼われたりしています。
「ジャバの宮殿」の建築考察
3つの塔と地下ダンジョンが立体的に組み合わさった断面は
現代のダンジョン渋谷駅のようで、とても魅力的ですね。
カッパドキアや、日本でいうと大谷資料館などの地下空間を連想してしまいます。
ちなみにジャバの宮殿の地下断面にも見られる
卵型の断面は、トンネルなどでも見かけられますね。
これは土圧に最も強く、人や車両が通行しやすい「馬蹄形」という形を採用しているのです。
「ジャバの宮殿」の登場エピソード
参考:wookieepedia,トンネルの形
スター・ウォーズ建築⑦エンドアのブライトツリー村
「エンドアのブライトツリー村」の概要
エンドアは、エピソード6に登場する森林衛星です。「ブライトツリー村」というのは
イーウォックという先住民達の樹上住居、村落の名称です。
「エンドアのブライトツリー村」の建築考察
ブライトツリー村は樹木(針葉樹?)に対して頬杖を放射状に張り巡らせて
足場を作り、茅葺屋根を作って住居としていますね。
地球上でツリーハウスを建設するには、ガルニエ・リム(Garnier limb)という
樹木と構造物を支える特殊ボルトを使っていきますが、
ブライトツリー村ではどうなんでしょうか。
ブライトツリー村に類似のツリーハウスプロジェクトは探せばぼちぼちありますが、
日本国内でいうと、中村拓志氏のツリーハウスなんかは面白いですね。
こちらは直径30mmの六角棒と28mm角の四角棒の面を組み合わせた
トラス構造で鳥の巣のようなツリーハウスをつくっています。
「エンドアのブライトツリー村」の登場エピソード
参考:Wookieepedia,seven5,新建築
スター・ウォーズ建築⑧コルサント
「コルサント」の概要
コルサントは高層未来建築が印象的な惑星です。
実は惑星全域が都市で埋め尽くされています。エピソード2,3がメイン舞台です。
「コルサント」の建築考察:エキュメノポリス
都市で惑星を覆い尽くすコルサントは実は、「エキュメポリス」という概念にあたります。
エキュメノポリス
都市化が進み,都市的集落が地球上の可住地域を連続的におおうようになった場合を予想した概念。
現代ギリシアの都市学者 C.A.ドキシアデスが提起した概念で,世界都市とも呼ばれる。
引用:コトバンク
エキュメポリスを提唱したドキシアディスは、碁盤の目のように整備された
イスラマバードの都市計画を手掛けたことでも知られています。
コルサントのスカイライン
コルサントはニューヨークマンハッタンの高層ビル群を彷彿とさせる
という解説が結構あります。マンハッタンは「錯乱のニューヨーク」でもお馴染みですが、
マンハッタンの都市計画も碁盤の目状の計画で知られていますね。
リンク
個人的にはコルサントのスカイラインは、シンガポールにある
ダニエル・リべスキンド設計のReflections at Keppel bayに見えなくもないかと。
僕はリべスキンド建築は他にも結構見に行っている方で、こちらも実際見に行きましたが圧巻でした。
リベスキンド設計/コペンハーゲンのユダヤ博物館の記事はこちら↓
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総括すると「コルサント」はマンハッタンスカイスクレーパー+
未来主義・表現派様式が混ざった「エキュメポリス」であるということになりそうです。
「コルサント」の登場エピソード
スター・ウォーズ建築⑨オク=トーの寺院
「オク=トー」の概要
オク=トーは、エピソード7,8,9でメインに登場する水の惑星です。
ヒロインのレイが、ルーク・スカイウォーカーを見つける為に来訪します。
「オク=トー」の建築考察
オク=トーで印象的なのは、ルーク・スカイウォーカーが潜んでいる
こちらの石積みの寺院でしょう。こちらはアイルランドに実在しています。
シュケリッグ・ヴィヒル|Sceilig Mhichílというアイルランド島西方に
位置する孤島で世界遺産にも登録されています。
今から1000年以上も前に、アイルランド初期キリスト教僧侶らが住んでいたようです。
日本では石積みの寺院はあまり見られませんが、
実は隠れキリシタンの里、長崎県に「大野教会」という
石積みでできた興味深い教会建築が存在します。
オク=トーの登場エピソード
おまけ:スター・ウォーズハウス
スター・ウォーズの世界にインスパイアされて作られた住宅が存在します。
こちらの住宅は韓国にあるようです。スペースシップ感漂うアイコニックな外観ですね。
内部は意外と、あたたかみのある木を基調としたデザインのようです。
まとめ
今回は9つのスター・ウォーズ建築を解説しましたが、いかがだったでしょうか。
スター・ウォーズの世界は、宇宙を舞台にしていながらも
実は、現実世界の建築や都市を参考にしていることが結構あることがわかるかと思います。
当ブログではスター・ウォーズ関連情報を下記にもまとめていますので御覧ください。
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