
本記事の内容
パノプティコンについて、現役建築家のぼくが解説します!
- パノプティコンとは
- パノプティコン提唱者|フーコーとベンサム
- パノプティコンの登場映画
この記事をよめば、明日使える建築・映画雑学が身について、
もっと建築・映画鑑賞が楽しくなりますよ!
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パノプティコンとは
早速、パノプティコンの定義を確認してみましょう。
18世紀末に J.ベンサムが考案した監獄のモデルである一望監視施設を意味する。その建築学的構造は中央に監視塔を設け,その周囲に円状の収容施設を配置する。
引用:ブリタニカ
以上の内容ですが、こちらを具体的に
体現している建築「プレシディオ・モデーロ刑務所Presidio Modelo」を見れば理解しやすいです。
この中央の塔から光線を各房へ送ることで、
囚人からは監視者の姿は見えないものの、中央からは受刑者を監視できる
という「少人数多人数監視」の環境が成立します。
こちらは現在では使われていないようですが、他にもペントンヴィル刑務所や、
日本では小説「破獄」の舞台にもなった
網走刑務所をはじめ、多くの刑務所が中央から放射状に枝分かれした
パノプティコンの影響を受けた放射状の配置形態をとっています。
Google earthで見るニッポンの行刑施設の機能美がスゴイ #監獄建築 #刑事施設 pic.twitter.com/nnD5Hrh8Gy
— 前畑洋平 (@maefa1109) June 2, 2018

ギリシャ語のpan(全)と optikos(視覚の)に由来しているそうです。
パノプティコン|ベンサムとフーコー
ジェレミ・ベンサム
生(没)年月日 | 1748年2月15日 - 1832年6月6日 |
出身 | イギリス |
パナプティコンの提唱者はジェレミ・ベンサムという哲学者・法学者です。
功利主義者としてもしられるベンサムは、
「犯罪者を恒常的な監視下におけば、彼らに生産的労働習慣を身につけさせられる
=犯罪者の幸福を底上げすることができる」と考えていたようです。

パナプティコンの有名なこちらのダイアグラムはベンサム自らのスケッチだそうです。
彼はこちらの収容所を建設する資金や計画を立てていましたが、実現することなく
この世を去りましたが、パナプティコンの考え方は、少人数による多人数監視のロールモデルとして
その後各国の刑務所で採用されるようになったようです。
参考:wikipedia
ミシェル・フーコー
生(没)年月日 | 1926年10月15日−1984年6月25日(57歳没) |
出身 | フランス |
ベンサムの死から100年以上が経った1975年に、フランスの哲学者ミシェル・フーコーが
著書『監獄の誕生――監視と処罰』でパナプティコンを扱ったことで、
世間的にも知られるようになります。

現代社会とパノプティコン

スマホやウェブが発達した現代社会においても、
パノプティコンの概念は敷衍して語られます。
ノルウェーの社会学者トマス・マシーセンによると、例えばスマホのように、
画面を見ていいねなどの反応をするということは、
同時に相手にその動向を監視されることでもあるというパラドックスについて、
私達は「監視される者」であると同時に、「見物する者」であるとう
シノプティコン(synopticon)という概念を提唱しています。
パノプティコン登場映画:マトリックス
つい先日大好きなマトリックスを観ていて思ったのですが、
マトリックスは、いわゆる現代的な監視社会を風刺した映画ではありませんが、
地下都市ザイオンの構造がパノプティコンっぽいなとおもったので挙げてみました。
中央の円筒に向かっていくつものデッキが周囲に円環状に広がった居住域から渡されています。
この構図はベンサムが描いたダイアグラムにかなり近いと言えるでしょう。
地下都市ザイオンは、主にはシリーズ最終話の
「マトリックス レボリューションズ」で観ることができます。
まとめ

パノプティコンは、監獄建築の雛形として誕生し、
現代社会や映画にも影響を与えていることが分かりましたね。
今回ご紹介した映画も合わせて知っておくと、ネタになるかと思います。
当ブログでは、他にも映画好き建築家の僕が
独自の視点でおすすめ映画を解説しています!
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