建築×ライフ

光学ガラスを使った建築/アート作品まとめ

2020-02-10

ガラス

光学ガラスとは

カメラや顕微鏡によく用いられている光学ガラス。

厳選された素材に、管理統制された工程を経てつくられ、

100メートル先まで光を通すほど透過性にすぐれたガラスであると言われている。

波紋のような表面

光学ガラスのこの独特の波紋のようなテクスチャは

ガラスを溶解し、金属製の鋳型に流し込み、取り出す過程で生じるものだそうだ。

工業製品でありながら、澄んだ湖の波紋を思わせる不思議な素材感である。

このテクスチャを活かしてアートワークを展開するアーティストは多いが、

これを取り除くとなると、別途加工が必要になり、手間賃として結構なコストもかかってくる。

無色・高透過

光学ガラスと呼ばれる理由は、その透光、透過性にある。

一般的なフロート板ガラスはやや緑がかった色をしているのはご存知だろう。

光学ガラスには、一切そのような色合いを見て取ることはできない。

これは一般的なガラスに比べて不純物が少ないことに由来している。

ライティングとの相性

メーカーの協力のもと、実際に加工して

光を当てるとどのような影響があるかを実験してみた。

 

通常時

・光が完全に透過してしまい、ガラス全体は光らず面取りや小口が僅かに光る程度

 

積層接着した場合(プレートを底面にあてる)

・光が底面のプレートにあたるため、ガラス全体が光る。

 

ダボ孔

・ドリルを使って光学ガラスの中にダボ孔をあけ、光を当てると、

ダボ孔で光が乱反射し、ダボ孔のみ発光する。

コストがかかる

見た目にも性能にも優れたこのガラス。

そもそも建材としてなかなか普及しない理由はその高額なコストに起因する。

僕も導入を検討するべく、見積をとってもらっていたが、

最大で15種類もの不純物の少ない高純度で高価な原料を混ぜ合わせ、

白金=プラチナ製の坩堝を使うのだから無理もない。

仮に光学ガラスを用いた作品制作を検討されている方は、

以下の点に留意して制作すると良いだろう。

 

コストを抑える方法
  • なるべく研磨しない
  • 使う材料を小さくする
  • カットする場合は単調なカットにする

アクリルで代用できる?

光学ガラスを用いたアート制作にあたって、そのコストがハードルとなったときは、

屋内用途に限って言えば、アクリルでも代用はできるだろう。

しかし、これが屋外用途となった場合にはそうはいかない。

アクリルは寒暖差に弱いため、膨張して破損する恐れもあるし、

日光での黄変や破損などへのケアも必要になってくるのだ。

光学ガラスを用いた建築・アート作品

Optical glass house/中村拓志

学生時代によく、中村さんの作品集を穴が空くほど見ていたことを思い出す。中村さんが発表する作品は、いつも実験的で、目から鱗な秀逸なアイデアに支えられている。

この物件では、小さな光学ガラスのブロック内に孔を設けてそこにロッドを通して、外壁を構成している。

幹線道路沿いからの視線と騒音を遮りながらも、

光を屋内に導くことで細長い奥行きの住居内に

木漏れ日のようなやわらかいひかりを取り入れている。

 

他にも中村さんは「虹を探す家」においても

光学ガラスをワンポイントで使った住宅設計を試みられている。

光庵/吉岡徳仁

国内で光学ガラスを使ったアート作品の先駆けは

吉岡さんだったのではないだろうか。

鋳型からそのまま取り出してできた即物的な光学ガラス塊をベンチとして設えたwater blockに見覚えがある方は多いだろう。

そのwaterblockで用いた光学ガラス塊が座敷として敷き詰められたのがガラス張りの茶室光庵である。

現在は新国立美術館で公開展示されている。  

 

江之浦測候所/杉本博司

光学ガラス塊を贅沢に使った物見台があるこちらの施設は、写真家の杉本博司氏が手掛けたもの。

このように四六時中風雨に晒される場所でも堂々と設置してあるが、光学ガラス塊は半永久的にメンテナンス不要であるということをメーカーから聞いたことがある。

現在は光学ガラスの舞台上に上がることはできないそうだ。RCRを思わせるこの横にある銅板の矩形は、冬至光遥拝隧道と呼ばれて海を切り取る空間装置になっている。

この他にも周辺には様々な施設やフォリーが点在してるが、どれも建築的な完成度が高い。

突き詰めたディティールや贅沢な素材使いは、

アーティストならではの、一点物建築になっている。

杉本博司氏は護王神社でもこの光学ガラスの踏段を用いている。

 

まとめ

光学ガラスを建材として使うにはコスト的なハードルがまずはあるだろうが、

実物を見てみるとその人工物と自然物の間のような不思議な素材感には

胸を打つものがある。

光学ガラスをつかった素晴らしい建築や、アートが

これから作られることを期待してやまない。

 

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