本記事の内容
映画好き建築家の僕がマッドマックスシリーズにおける建築について解説します。
- マッドマックスシリーズとは
- マッドマックスシリーズの建築考察
- マッドマックスシリーズ各エピソード紹介
本記事を読めば、大ヒット映画「マッドマックス」の建築雑学や、全4作の概要を知ることができて、より映画鑑賞が楽しくなりますよ!
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もくじ
マッドマックスシリーズとは
マッドマックスシリーズは、暴走族が横行する近未来の荒野を描いた作品です。
監督のジョージ・ミラーと主演のメル・ギブソンの出世作で、その後の映画にも多大な影響を与えたマスターピースです。
シリーズ第一部に「マッドマックス」の製作当初、予算が限られていたため、未来的なセットが不要な、
既存の荒野や道路などを利用して撮影されたそうですが、それがかえって独特な世界観の演出につながっています。

マッドマックス建築考察
マッドマックスは荒野を舞台にした映画で、建築物が出てくるシーンは少ないものの、
ところどころ印象的な建築や構造物が登場します。
ここではその中のいくつかをピックアップしてご紹介します。
マッドマックス建築考察①地下駐車場
怒りに打ち震えるマックスが追跡専用車インターセプターを、暴走族警官の地下駐車場で拝借して出発するシーンにはぐっとくるものがあります。
そんなマックスの復讐のスタート地点を描くこちらの駐車場のただならぬ造形美。
これは建築家として調べざるを得ませんでした。こちらは実際にメルボルン大学の地下駐車場として現存するSouth Lawn car parkという駐車場で、
設計者を調べると次のような成果を得ることができました。
#マッドマックス
を久しぶりに見ていて
このRCシェルの地下駐車場の設計者を調べたら
オーストラリアのJan van der Molenという
構造エンジニアの1971年の作品でした!この支柱、実は内部に樋も内包してるそうです
伊東さんの台湾大学の元ネタでしょうか😳#建築 #映画好きと繋がりたい #映画 pic.twitter.com/Zz58LM2uAZ— ラダー | 映画と建築 (@archi_ladder) June 5, 2020
※あとで調べてわかりましたが、実際には1972年竣工だったようです。
丹下さん設計のカテドラルにしてもそうですが、基本的にRCシェルって有無を言わさない芸術的訴求力があるんですよね。
マッドマックス建築考察②サンダードーム
シリーズ三作目に登場する砂漠の町バータータウンにある「サンダードーム」は、
スチール製の格子でできたドーム型の決闘場です。
「二人入って出るのは一人」という掟に従った冒頭の決闘シーンから早速登場します。
オーディエンスが自由によじ登って観戦したり、既存の建物動線
(アウンティのいる建物からの滑車アプローチ)など、意外に多機能なジャングルジムです。
サンダードームのようなフレームによる球体構造を見ていると
バックミンスター・フラーのジオテジックドームを思い起こさないでもありません。
ジオテジックドームはパイプなどの線材を、結節点となるジョイント金物で組み上げて、
構造的に強い三角形のトラスを構築して成立するドーム構造です。
サイズ感も自由に変更できて、現代ではDIYの延長でつくれてしまう程、普遍的な構造メソッドなのです。
両者の関係についてはこちらの記事(英語)でも考察されています。
マッドマックス建築考察③トゥモローランド
「最後の部族」によって保存されてきた過去を投影する写真機には、「トゥモローランド」と呼ばれる
かつての高度文明・都市が映し出されますが、これは実はオーストラリアのシドニーの風景を切り取っています。
僕自身、一時期シドニーに住んでいたこともあって、シドニータワーや、ハーバーブリッジ、ウッツォンのオペラハウスが見えたときには興奮しました。
この画を見たときにシドニーという都市のランドマークが妙にマッドマックスで描いている未来社会=鉄と砂と機械の世界観にマッチしていると感じました。
ハーバーブリッジは、シリーズの象徴ともいうべき自動車のボディと同材の「鉄」でつくられた橋ですし、橋桁を支える巨大な石柱も、
「怒りのデスロード」の砦シタデルへの布石に見えなくもないです。
Donald Crone設計のシドニータワーも、パット見は頂上の展望台ボリューム以外の躯体は、太い鉄柱をワイヤーで覆ったインダストリアルなデザインです。
この2つのアイコンが妙に映画の世界観ともマッチしています。ちなみにこのシーンではオペラハウスの写真は、ハーバーブリッジと付随して小さく移されているのみで、
映画の世界観に配慮して、あえて曲面で主張の強すぎるオペラハウスが小さく移されているにとどまっているのではないかとさえ感じました。
マッドマックス 各エピソードの紹介
マッドマックスには2020年6月現在、4つのエピソードが存在します。
ここではかんたんにそれぞれの作品を紹介していきます。
マッドマックス
マッドマックシリーズの幕開け。のっけからB級臭がぷんぷんしますが、
タイトルにもあるように、荒廃し、罪悪が横行した世の中と、暴走族への怒りが
物語を激しくドライブさせていきます。復讐劇ってなぜこうも人をひきつけるのでしょう。。
近未来。対暴走族警官マックスは、暴走族の首領ナイトライダーを追跡した果てに死なせてしまう。その復讐に燃える配下のトーカッターたちに同僚のグースを再起不能にされ、妻も傷つけられたマックスは、追跡専用車インターセプターを駆って仇を討つことに。
引用:U-NEXT
マッドマックス2
前作からに更にスケールアップしたシリーズ最高傑作の呼び声高い
マッドマックス2は「北斗の拳」の世界観のモデルにもなりました。
枯渇した石油をめぐり、暴走族が人々を襲う近未来の世界。荒野をさすらうマックスは、ヒューマンガス率いる暴走族の襲撃を受け続けている製油所を見つける。製油所の人々が新天地への脱出を図っているのを知った彼は、その手助けをすることを決意するが。
引用:U-NEXT
マッドマックス サンダードーム
三作目のサンダードームは、これまでのストーリーよりも、暴力描写は少なく、
アドベンチャー色の強い作品です。自給自足の荒野の町バータータウンの営みや、
最後の部族のアジトなんかは、荒野世界とはまた趣向の異なる独特な世界観を作り上げています。
荒野をさまよい、アウンティが支配する街バータータウンへと辿り着く。アウンティと対立するする二人組マスターとブラスターを殺す契約を交わしたマックスだが、それをためらったために街を追放。やがて砂漠で昏倒する彼の前に、ひとりの少女が現れる。
引用:U-NEXT
マッドマックス 怒りのデスロード
シリーズ4作目の本作より、マックス役はメル・ギブソンから、
トム・ハーディへとバトンタッチします。前作より30年ぶりのマッドマックスシリーズ
ということもあり、映像表現には磨きがかかっています。争いの火種がガソリンから、人間へと写った本作の構想は、1998年には練られていましたが、
そこから9.11や資金繰りの困難、キャストや撮影地トラブルなどが相次ぎ、結局完成は2015年となってしまいました。
愛する者を失った元警官・マックスは、独裁者・ジョーの軍団にとらわれる。そんななか、ジョーの右腕であるフュリオサが反旗を翻し、囚われの女性たちと共に逃走。怒り狂ったジョーは軍団を率いて追跡を開始する。マックスはこの追跡劇に巻き込まれ…
引用:U-NEXT
まとめ

マッドマックスシリーズは、未来の荒野を舞台にしたアクション映画で、
インダストリアルなメカや建築デザインの魅力も相俟った映画でしたね。
興味がある方は、ぜひ一度ご覧になってみてくださいね。
当ブログでは映画好き建築家の僕が、建築視点で映画や用語について解説していますので合わせてぜひご覧ください!
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