


もくじ
本記事の内容
- 一級建築士の合格率について
- 一級建築士の合格に必要とされる勉強時間と偏差値について
- 一級建築士試験が難しいと感じる理由
- 一級建築士を受験してみた感想
- 結論
一級建築士の合格は数字だけ見るとたしかに難しい印象はあります。
しかしながら、Fラン大学卒の僕でも合格できたので、誰にでもチャンスがある試験です。
当ブログでは一級建築士学科試験に独学で合格したぼくの勉強法などをアップしていますので
これから受験を考えている方はぜひ参考にされてください。
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【独学】一級建築士学科合格の為に実践した7つの習慣
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一級建築士の難易度|合格率は通年で約10%

ではまずはじめに一級建築士が実際どれだけむずかしいのか?
ということについて以下のキーワードから順に見ていきましょう。
一級建築士の難易度をジャッジするキーワード
- 合格率
- 勉強時間
一級建築士の合格率:通年で約10%
一級建築士の試験は学科試験と製図試験の二部構成となっていて、
例えば一年で合格する確率は約10%となっています。
必要な勉強時間
一級建築士の勉強に必要な勉強時間は通常700〜1000時間と言われています。
これは毎日3時間コツコツ勉強してようやくたどり着ける数字です。
一級建築士の偏差値は66だが,「いい大学をでた人・頭がいい人しか合格できない」は間違い

一級建築士の偏差値は66
こちらの資料によると、一級建築士の合格に必要な偏差値は66ということになります。
これは上位5.48%で18.2人に1人という数値になります。
偏差値66とは、こちらの資料によると日本の私立大学では、
同志社大学、東京理科大学、上智大学 などと同等程度(すべて工・理工学部)となります。
学力に自信がなくてもチャンスは十分にある


実際に試験元が公表している合格者の出身大学を見てみましょう。
学校名 | 合格者数 | 学校名 | 合格者数 |
---|---|---|---|
日本大学 | 153 | 北海道大学 | 23 |
東京理科大学 | 128 | 京都建築大学校 | 22 |
芝浦工業大学 | 96 | 鹿児島大学 | 21 |
近畿大学 | 87 | 前橋工科大学 | 21 |
早稲田大学 | 79 | 大阪大学 | 20 |
明治大学 | 70 | 東北工業大学 | 20 |
千葉大学 | 68 | 慶應義塾大学 | 19 |
工学院大学 | 63 | 新潟大学 | 19 |
京都工芸繊維大学 | 57 | 北九州市立大学 | 19 |
京都大学 | 56 | 愛知産業大学 | 18 |
神戸大学 | 54 | 関東学院大学 | 18 |
大阪工業大学 | 51 | 大阪工業技術専門学校 | 18 |
東京都市大学(武蔵工業大学) | 51 | 武蔵野美術大学 | 18 |
法政大学 | 51 | 宇都宮大学 | 17 |
大阪市立大学 | 45 | 修成建設専門学校 | 17 |
九州大学(九州芸術工科大学) | 44 | 広島工業大学 | 16 |
東京電機大学 | 40 | 滋賀県立大学 | 16 |
名古屋工業大学 | 40 | 中央工学校 | 16 |
広島大学 | 37 | 武庫川女子大学 | 16 |
金沢工業大学 | 35 | 豊橋技術科学大学 | 16 |
横浜国立大学 | 33 | 大分大学 | 15 |
関西大学 | 33 | 筑波大学 | 14 |
信州大学 | 33 | 京都造形芸術大学 | 13 |
東京大学 | 33 | 関西学院大学 | 12 |
東北大学 | 33 | 岐阜工業高等専門学校 | 12 |
熊本大学 | 32 | 宮城大学 | 12 |
東京都立大学(首都大学東京) | 32 | 九州工業大学 | 12 |
東洋大学 | 32 | 九州産業大学 | 12 |
名城大学 | 32 | 中部大学 | 12 |
名古屋大学 | 31 | 長崎大学 | 12 |
立命館大学 | 31 | 奈良女子大学 | 12 |
東海大学 | 30 | 日本工業大学 | 12 |
千葉工業大学 | 29 | 北海道科学大学(北海道工業大学) | 12 |
東京工業大学 | 29 | 琉球大学 | 12 |
福井大学 | 29 | 呉工業高等専門学校 | 11 |
三重大学 | 28 | 公立大学法人名古屋市立大学 | 11 |
愛知工業大学 | 26 | 山口大学 | 11 |
神奈川大学 | 26 | 有明工業高等専門学校 | 11 |
福岡大学 | 25 | 京都府立大学 | 10 |
摂南大学 | 24 | 昭和女子大学 | 10 |
日本女子大学 | 24 | 石川工業高等専門学校 | 10 |
室蘭工業大学 | 23 | 福井工業大学 | 10 |
この表をみてお気づきになったかもしれませんが、
難関大学以外の大学・高専・専門学校からの合格者も十分に多いことがわかります。
例えば国内最難関の東京大学の合格者数は33人であるのに対して、
最も多くの合格者数を誇っている大学は、
中堅私立の日本大学です。その数なんと東京大学の5倍の153人です。
僕自身もいわゆる「いい大学」を出ているわけではありませんがそれでも一級建築士には合格しています。
世の中には専門学校を卒業したての20歳で一発で合格した人だって普通にいます。
このように一級建築士は、もともとの学力や出身大学の偏差値を要求されている試験では決してないのです。
一級建築士試験が難しいとされる理由

一級建築士試験は学歴関係なく、誰でにも合格するチャンスがあることはわかりましたが
それでも「難しい」と言われていることに変わりはありません。
ぼくもはじめは1級建築士は「難しそうだ」という認識から
試験そのものから逃げて結局貴重な受験期間を数年も溝に捨ててしまっていました。
人間には正体がわからないものや新しいことに対しては、リスクを取りたがらない傾向にあります。
ですが、その正体が明らかになったときは進んでリスクをとることができるのです。
この章では、曖昧模糊とした一級建築士の「難しさ」の正体を一つづつ検証し、
それを乗り越える方法を僕の実体験を交えながらつぶしていくことで試験への不安とリスクを取り除いていきます。
一級建築士が難しいとされている7つの理由|冷静に考えれば実は対処可能
一級建築士が難しいとされている理由は次の7つかと思います。
- 年々低下する合格率
- モチベーション維持の難しさ
- 学科試験の出題範囲の広さ
- 勉強時間の確保の難しさ
- 製図試験のブラックボックス採点
- 金銭的難しさ
- 試験時間の長さ
それぞれ順番にみていきましょう。
年々難化する試験
一級建築士の試験は年々難しくなっていると言われています。
例えば今年の通年の合格率は学科、製図ともに合格率が低く、
通年でなんと9.9%の合格率という、ここ数年で最も低い合格率となりました。

よく言われるのが、一級建築士試験は、2005年の姉歯事件を期に、
2009年(平成21年)の建築士試験の学科・製図試験の見直しを行ったときに
かなりレベルがあがったと言われています。
近年では令和2年には受験機会が拡大され、
実務経験がない若い大卒生でも受験できるようになったことから
資格取得のタイミングを逸した中堅が年々取りづらくなっていると言われています。
- ポイント|これ以上難化する前に受験する or ロングスパンで独学
年々試験が難化し、受験者も若くなっていく状況を考えると
最も効果的なのはなるべくはやく受験するということに尽きます。
僕は幸い30台になる前に学科に受かったのでそこまで苦労はしませんでしたが、
歳を重ねるとライフイベントも多く、肉体的にも不利になるのでできる限り早く受験を志しましょう。
とは言え、50代、60代で一級建築士に合格している方がいるのも事実です。
費用を抑えて独学で自分のペースで、数年単位のロングスパンで取得を計画するのも一考です。
(独学ではなく、数年単位で学校に通うととんでもない費用がかかります。。。)
【受験経験者が解説】一級建築士になるための費用|一体いくらかかるの?
モチベーション維持の難しさ

一級建築士の取得はスムーズに行けば1年で終了しますが、
うまく行かなったときは数年に及ぶ可能性もあります。
最低でも一年近くモチベーションを維持して勉強することはなかなか難しいものです。
- ポイント|適度に休む
ぼくは結局学科2回、製図2回の挑戦を経て一級建築士になれたのですが、
その間ずっと勉強していたわけではありません。
授業が本格化していない間は、趣味の映画とブログ記事など趣味を楽しみながらストレス解消に努め、
モチベーションを維持していました。手前味噌ですが、映画記事に興味のある方はぜひこちらをどうぞ。
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映画にみる名建築|おすすめ映画19選の見どころと登場建築まとめ
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足の裏の米粒ではない!一級建築士になる14のメリットを一級建築士が解説
学科試験の出題範囲の広さ
学科試験は5教科の知識を求められます。
計画、設備、法規、構造、施工科目のそれぞれ非常に幅広い内容から20〜30問づつ試験問題が出題され、
本番では全部で120問にもなる問題数から、約90点以上の正答率を求められます。
その出題範囲の広さから、そうそうにあきらめてしまう人もいるかも知れません
- ポイント|過去問をコツコツやる
いくら試験範囲が広いとは言え、重箱の墨をつつくような問題ばかりが出ることはありません。
僕もそうでしたが、分厚いテキストにあたるよりも、まずは7年分の過去問に取り組むことで
幅広い試験範囲からどんな問題が出やすいかがわかります。
試験問題の内容についてはこちらの記事に詳しく書いていますので
もっと知りたい方はぜひご覧ください。
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どんな問題が出る?一級建築士学科/製図試験内容を一級建築士が解説
続きを見る
勉強時間の確保の難しさ

建設業界の労働時間は、他業種に比べて長いことが多いです。
朝から晩まで働いたあと、家に帰って3時間も集中できるわけがない!
ということもあるかと思います。
- ポイント|朝勉+スキマ時間を最大化する
対策として簡単なのは、家に帰ってまとめて3時間勉強するのではなく、細切れに3時間勉強すればいいのです。
時間は誰でも等しく流れているものです。どんなに忙しくても
トイレや、ふとした休み時間、通勤時間は誰もがもっている時間だと思います。
このスキマ時間にどれだけ勉強できるか(特に学科試験)はポイントです。

スキマ時間学習の最大のメリットは時間が決められていることです。
このタイムプレッシャーがあると、人間はより集中して物事に取り組むことができるのです。
知らないと損!一級建築士スマホアプリ5選|スキマ時間で問題が解ける
製図試験のブラックボックス採点
製図試験は6時間半を通して手で書き上げた図面に対して
ランクⅠ,Ⅱ,Ⅲ,Ⅳの4段階評価を受けます。この中でランクⅠだけが合格するという試験なのですが、
試験の数カ月後にいきなりはがきでランクが通知されるだけで、
自分がなぜそのランクなのかという採点の根拠については示してもらえません。
解答例などは示されますが、別にその回答例通りの図面を描く必要もないし、
採点も人間がひとつひとつ目で確認して行うという、正解のない試験なのです。
- ポイント|製図の勉強は常に他者に評価してもらう
製図試験は、最低限の計画的・法的要求を満たしたより回答例を、時間内に書き上げる必要があり、
このプロセスは独学ではなかなか難しいものがあります。
ぼくの知り合いで独学で製図に挑んで落ちたあと、通信資格講座を利用したら
自分が正解だと思いこんでいた法的要求が実は誤りであり、それが原因で失格となっていたという話がありました。
このように自分で描いた図面を客観的に正解かどうかを判断することはかなり難しいです。
そういった意味で、製図試験は資格学校やコスパの高いスタディング等を利用して
製図試験を乗り切るテクニックを客観的に学ばれることをおすすめします。
スマホ×独学だけで一級建築士になれる?スタディングのメリット・口コミ

建築士製図試験|作図スピードアップにおすすめの道具13選+α
金銭的難しさ

一級建築士の試験にはお金がかかります。どのくらいかかるかは人によって違いますが
学校に行くか行かないかで天と地程の差があります。
学校に行く場合は最低でも年間50〜100万円の出費は覚悟する必要があります。
詳しくはこちらにまとめていますが、この資格学校代を払うことに大きなハードルを感じている方は多いと思います。
【受験経験者が解説】一級建築士になるための費用|一体いくらかかるの?
- ポイント|学科は独学+アルファでOK
ぶっちゃけ学科試験は誰でも独学で合格できます。
偏差値40のFラン大学に通っていたぼくでも独学で合格できましたし。
学科試験を独学にするとそれだけでコストと通学時間をかなり削減できるのでおすすめです。
ただ、独学にあたって最低限必要なものもあります。資格学校で高額な学費を払わないかわりに
資格学校が主催する模試や、過去問アプリ、スタディングなどの
プラスアルファ教材には積極的に投資しておきましょう。
試験時間の長さ
一級建築士の試験時間は非常に長いです。
学科試験、製図試験ともに6時間半にもなる長丁場で、受験するだけで精神的にも体力的にも疲弊する試験です。
こんな試験受験するだけで嫌になる!とはじめはぼくも思っていました。
- ポイント|模試に慣れておくこと
一発本番で試験を受けると緊張や不安で思った成果を出せないこともあります。
事前に模試を受けておくことで、長丁場の試験に耐えうる心と体の準備をしておくとよいです。
一級建築士試験で模試を受けるメリット・デメリット|模試全滅→本番合格者が解説
また、試験勉強の合間に気分転換も兼ねた適度な運動も、体力を高めるうえで効果的です。

まとめ:一級建築士は数字上は難関。ただ、積み上げれば誰にでも合格は可能

一級建築士はたしかに数字上は合格率の低い難関資格ですが、
こつこつ積み重ねていけば誰でにもチャンスがある資格であることがわかりました。
これから受験を控える読者の方は、本記事で綴った一級建築士試験の「難しさの中身」と「その対処」を
参考にして、ぜひライバルより先に合格を勝ち取っていただければと思います!