
こんな疑問にお答えします。
本記事の内容
映画好き現役建築家の僕が、
ゴダールの「軽蔑」と作中に出てくる「マラパルテ邸」について解説します。
この記事を読めば、「軽蔑」と「マラパルテ邸」の魅力が理解でき、
ちょっとした時に誰かに披露できる映画と建築知識が身につきますよ。
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ゴダールとは
生年月日 | 1930年12月3日 |
出身 | フランス パリ |
その他の代表作 | 「勝手にしやがれ」「気狂いピエロ」等 |
ゴダールは、「ヌーヴェルヴァーグ」という
映画ムーブメントを牽引したフランスの映画監督です。
独創的なカメラワークや大胆な編集で映画界に革命をもたらした巨匠で、
未だ世界で根強い人気を誇る巨匠映画監督です。

こちらの映画もおすすめです。
「軽蔑」の基本情報
製作年 | 1963年 |
製作国 | フランス/イタリア |
出演 | ブリジット・バルドー ミシェル・ピコリ ジャック・パランス ジョルジア・モル フリッツ・ラング |
監督・脚本 | ジャン=リュック・ゴダール |
上映時間 | 103分 |
あらすじ
劇作家のポールのもとに、辣腕プロデューサーのプロコシュがシナリオの書き直しを依頼しに来た。フリッツ・ラング(本人)が監督する新作『オデュッセイア』があまりにも難解すぎるからだ。打ち合わせの後、プロコシュの自宅へ招かれたポールと妻カミーユだったが、後からやって来たポールにカミーユの態度は冷たい。彼女が何に対して怒っているのか、二人の仲は自宅へ戻っても変わらない。あんなに愛し合ったのに、ベッドを共にする事も拒絶するカミーユ。やがて、映画のロケのためにカプリ島に出かけた際、ポールはカミーユとプロコシュがキスしている光景を目にする……。
引用:Yahoo!映画
「軽蔑」には実は原作があって、こちらの、
アルベルト・モラヴィアの同名小説が元になっています。
「軽蔑」を撮ったゴダールは当時、結婚したばかりの妻との距離感に悩んでいたそうで、
そんな悩めるゴダール自身が投影されたのが本作です。
カミーユ演じるブリジット・バルドーの美貌も印象的です。
「軽蔑」とマラパルテ邸
「軽蔑」の中でマラパルテ邸は、アメリカから来た映画プロデューサーの
ジェレミー・プロコシュという男の別荘兼、撮影場所として使われています。
映画の中では中盤以降でよくでてきますね。
建築家の鈴木了二さんや磯崎さん、海外ではジョン・ヘイダックやベンチューリまでが
このマラパラル邸について語っています。
ゴダール&マラパルテ邸は建築映画の鉄板アイコン http://t.co/a7fUlGtWD1
— michi (@archisound) May 13, 2013
建築ファンにとって、この映画は少し特別な位置づけにあるのです。
マラパルテ邸の基本情報
マラパルテ邸は、イタリアの建築家アダルベルト・リベラによって
設計されたという説と、施主のクルツィオ・マラパルテ自身が
リベラの設計案を元に設計、施工したという設がありますが
現在は後者が正しいという説が有力なようです。
施主:クルツィオ・マラパルテとは
クルツィオ・マラパルテは、イタリアのトスカーナ出身の作家です。
若い頃は軍人として名を挙げムッソリーニ率いるファシスト党に参加しますが
確執があり1933年にファシスト党を除名、反ファシズムの容疑で一時期、流刑に処されます。
マラパルテ邸が建築されたのは、そんな流刑生活のあとだったようです。

マラパルテ邸でのふたりのツーショットも残されています。
マラパルテ邸の現在
マラパルテ邸は、1957年にマラパルテが亡くなると、放置されていまししていた。
そこから、1980年代の終わりから1990年代にかけて大規模な改修工事が行われ、
現在は私有されているそうで、生憎、見学はできないそうです。
マラパルテ邸の魅力
マラパルテ邸の魅力①:絶景
水面からおよそ高さ30Mの、ティレニア海を望む大階段上のテラスは、
映画のラストシーンにも使われていますが、とにかく息を飲む絶景です。
ちなみにこの屋上の白い壁は、風よけの意味もあるそうです。
また、ティレニア海に面したこの断崖には
「青の洞窟」とよばれる観光名所としても有名な美しい小洞窟があります。
マラパルテ邸の魅力②:大きな窓で切り取る海とシンプルなインテリア
インテリアは外観とは打って変わってホワイトを基調としています。
特徴的なデザイン家具や、スタッコ製の暖炉はマラパルテ自信が手掛けたと言われています。
大きな窓で絵画のように切り取られたティレニア海は映画でも印象的ですね。
マラパルテ邸の魅力③:ミステリアスな外観
外観は淡い煉瓦色で、決して崖や海に馴染む色合いとはいえないマラパルテ邸ですが、
画を見ると不思議な調和が生まれている気もします。
ポツ窓に、色合わせたレンガ色が廃墟のような風合いを漂わせています。
屋上の大階段も、意味深な空気感に一役買っています。
これは、マラパルテがリーパリ島の監獄で流刑にされたとき、
窓から見える教会の大階段を投影しているそうです。
そんなマラパルテ自身の生涯が刻みこまれたこの家を、
マラパルテ自身も、「私のような家 (Casa Come Me)」と呼んでいたようです。
マラパルテ邸をもっと知る本

ここからはマラパルテ邸に関する本を2冊ご紹介します。
Casa Malaparte | Karl Lagerfeld
こちらは写真家のKarl Lagerfeldが1997年にマラパルテ邸を訪れた5日間で
撮影した写真集です。洋書ですが、Amazonのレビューでは購入者5人中5人全員が
★5つ評価なので、マラパルテ邸マニアや研究者には大満足な一冊です。
栖十二(住まい学大系)/磯崎新
日本を代表する建築家:磯崎新が12の住宅のエピソードを
銅版画と供にエッセイにしています。
マラパルテ邸に関する考察は、第1信で取り上げられています。
マラパルテ邸と「軽蔑」を自宅で鑑賞する方法

2020年5月現在は「軽蔑」はどのVODサービスでも利用できません。
ちなみに他のゴダール作品もVODではみることはできなさそうです。
ご覧になりたい方は、ネットでDVD・ブルーレイを購入するか
近所のTSUATAYAなどで借りてきましょうー
まとめ

マラパルテ邸は現在は中に入ることはできないので、
「軽蔑」を見てその魅力を堪能しましょう!
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