建築業界では「一級建築士は足の裏の米粒だ。」と聞きます。理由は
- とるのが面倒くさい。
- とらなくても支障はない。
- とっても食えない。
という、ことらしいのです。もちろんこの話はわからなくもないのが僕の本音です。
なぜなら僕自身、一級建築士をとるまでは上記のようなモチベーションでいたからです。
しかし、一級建築士を取得した今では「一級建築士が足の裏の米粒だ」とは全く思いません。
一級建築士を取得してからの僕は
実にたくさんのメリットを享受しています。
この記事では一級建築士である僕の実体験から、
一級建築士資格取得のデメリットとメリットについて解説していきます。
もくじ
- 1 一級建築士取得の2つのデメリット:「意味ない」と言われる理由
- 2 一級建築士資格取得の15のメリット
- 3 まとめ「一級建築士意味ない」はウソ!取得するメリットは多い!
一級建築士取得の2つのデメリット:「意味ない」と言われる理由

ぼくが実際に一級建築士の資格取得を目指してみて感じた2つのデメリットは次の通りです。
一級建築士資格取得のデメリット
- 時間がかかる
- お金がかかる
考えれば単純ですが、本当にこの2点に尽きます。
一級建築士取得のデメリット①時間がかかる
一級建築士の学科試験突破に必要な勉強時間は一般的に約1,000時間と言われています。
計算すると一年間、毎日3時間以上勉強してようやく到達するような時間です。
1000時間必要な試験って実際どんな試験だよ!っていう方は
こちらの記事を御覧ください。どんな試験科目なのかについてまとめています。
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どんな問題が出る?一級建築士学科/製図試験内容を一級建築士が解説
続きを見る
このことを受験前に知った僕は、忙しい建築設計の仕事をしてるなかで
そんな時間を捻出できるわけがないと一旦は諦めていました。
ぼくと同じような境遇で受験を諦めた方はたくさんいるかと思います。
- 対策:独学+スキマ時間を活用して勉強する
現代は便利な世の中で、アプリやスマホを駆使すればスキマ時間にかんたんに勉強ができてしまいます。
>>知らないと損!一級建築士スマホアプリ5選|スキマ時間で問題が解ける
この画像はぼくがこつこつ記録をつけていた「Studyplus」の受験当日の画像です。

いかがでしょうか。ぼくはスキマ時間のアプリや独学を600時間やるだけで学科試験に合格することができたのです。
実に本来必要とされる勉強時間を40%も削減することができ、普通に勉強するより一日1時間少ない勉強時間で合格できました。
むしろぼくは、「仕事や副業のことを考えると一年で600時間以上勉強はできないな」と感じていたので、
「試験に受かろう」というより、「受験当日までに600時間勉強しよう」という目標を立てて勉強をスタートさせました。
これなら例え今年落ちてしまっても、来年あと400時間勉強すれば受かるな!というモチベーションにもなるので当日も心が楽でした。
もしこれからコスパの高い独学を始めたい方がいれば、スタディングというアプリがおすすめです。
詳しくは下記の記事でも紹介していますので気になった方はご覧いただければと思います。
スマホ×独学だけで一級建築士になれる?スタディングのメリット・口コミ
一級建築士取得のデメリット②お金がかかる
一級建築の受験にはお金がかかります。受験料や、受かった際の登録料などをはじめ、
資格学校に通うのであればとても普通に払いきれる金額ではないほどのお金がかかります。
【受験経験者が解説】一級建築士になるための費用|一体いくらかかるの?
ここで一級建築士の受験を諦めてしまう人もいるかと思います。
- 対策:学科は独学+アルファでOK
僕自信も恥ずかしいくらい貯金がなく、また日夜設計事務所で忙しく働いていたので
学科試験対策のためだけに、宿題量が多く、学費も高い大手の資格学校には通えませんでした。
ですので、ぼく個人は学科試験を独学+アルファ(模試やアプリの利用)で高コスパで合格できたので
学科+製図で資格学校に通学する方よりもかなり割安で一級建築士を取得できました。
ちなみに僕自身はいわゆる世間一般ではFラン大卒のスペックでしたので、
勉強に自信の無い方も心配する必要はありません。
「時間」や「お金」はつくるもの
ここまでで大切なのは、「時間がない」や「お金がない」ということはデメリットではなく、言い訳であるということです。
いつも頭の片隅で一級建築士をとりたいと思っては毎年挑戦をやめている人は、
そうやって資格取得から逃げるための言い訳をつくっているに過ぎないのです。
漠然と時間がない、お金がないと嘆いている人は、まずは自分の一日の活動時間と収支の見直しをしましょう。
そうすると、何気ない空き時間やムダ遣い、副業のチャンスに気づくことができ、これを一級建築士の勉強にあてることができます。
このとき「時間」と「お金」は、一級建築士を受験するデメリットではなくなるのです。
ぼくも時短で効率よく勉強をしながら、
節約と副業で収入を増やして製図学校の学費を工面しました!
【目指せ月10万】今日から始める建築×在宅副業10選|必要ソフトやスキルも解説
一級建築士資格取得の15のメリット

僕自身が一級建築士になってみて実感したメリットは次のとおりです。
- 年収があがる
- 自信がつく
- モテる
- 建築がもっと好きになる
- 他業界にも通用する肩書ができる
- ローンの審査に通りやすくなる
- 家族が自分のことを誇ってくれる
- 大規模な建築の設計を行うことができる
- 友人ができる
- 勉強する習慣が身につく
- 時間とお金のムダ遣いをしなくなる
- 自慢できる
- 就職・転職しやすくなる
- より高度な資格を目指せる
- 設計能力が上がる
- 一生使える勉強道具に出会える
いかがでしょうか。デメリットに比してこのメリットの数の多さたるや!
順に見ていきましょう!
年収があがる

一級建築士になると年収が上がります。
こちらの記事によると一級建築士の年収は、二級建築士の給料を100万円以上、上回っています。
一級建築士 | 二級建築士 | |
ゼネコン | 約650万円 | 約500万円 |
設計事務所 | 約600万円 | 約480万円 |
また、これは僕の体験ですが、一級建築士の肩書があると
副業でも仕事をいただける機会が増え、本業以外でも収入が増えていきます。
自信がつく

僕はこれまで決していい成績で学業を修めていたわけではありませんが
一級建築士試験を突破したことでとても大きな自信がつきました。
この経験のおかげで副業や、転職、資格試験のときにも
「自分は努力すれば必ずできる」という自信がついたことで、各方面で成果を上げることができています。
建築系サラリーマンが専門スキル×副業で月20万円を達成した話
モテる

一級建築士を持っているとモテます!!こちらのランキングを見てください。
一級建築士が、1位。モテる士業はどれ?女性が結婚したいと思う士業ランキングを発表! https://t.co/Ltyf2C0mkk @PRTIMES_JPさんから
— 建築情報 (@kenchiku_zyoho) December 12, 2019
なんと一級建築士が堂々の一位となっています!!!独身の皆々様には朗報ですね!
また、映画や小説、ドラマではけっこう建築士って登場するんです。世間一般ではロマンティックなイメージがあるようですね。
忙しい建築士との恋愛の予習に?建築家が主役のロマンス映画5選
建築がもっと好きになる

建築士の資格を勉強するなかで特に好きだったのが、計画科目の現代建築や西洋建築の事例学習でした。
あの分野があってからは何気なくまちあるきしているときに見つけたお寺や神社の構造なども気になってしまいます。
学科の勉強を踏まえたことでもっと建築を好きになることができました。このモチベーションのおかげで
当ブログ「アーキラダー」でも建築を中心にしたいろんな記事を書くことができています。
他業界にも通用する肩書ができる

一級建築士の資格があれば建築の専門家として
他業種の方ともコラボレーションしやすくなるでしょう。
建築士の肩書を活かして活動の領域を広げる建築家は多いです。
例えば、実際に建築家の谷尻誠さんも二級建築士ではありますが、建築を軸に他業界の起業家とコラボレーションしていますし、
一級建築士の滝口聡司さんも布ブランドのTENPをはじめとした多岐にわたる活動に従事されています。
他業界にも通用する肩書ができる

ぼくの知り合いに銀行員の話によると、建築業界ではたらいている人のローンの審査で
まずみるのは有資格者かどうか。例えば賃金の限られたアトリエ系事務所にいながら、ローンを申し込みたいとなったときなどは
一級建築士を習得しておくと、ある程度有利になるようです。
家族が自分のことを誇ってくれる

一級建築士を取得した年に帰省したときは、家族がとても喜んでむかえてくれました。
一級建築士は一般の方にとっても一目置かれる資格だということがわかり、とてもうれしくなりました。
一級建築士をとったことで家族の知り合いからちょっとした仕事の依頼もあったこともラッキーでした。
どんな建物でも設計を行うことができる

一級建築士はどんな建物でも設計できるようになります。
もし独立するときに一級建築士がないと、住宅などの比較的規模の小さい建物しか設計できないので、
公共施設など幅広く活動していきたい方はマストな資格です。
(ただし構造適合性判断などの一部条件によっては構造、設備一級建築士の協力が必要です。)
友人ができる

試験勉強では多くの人と出会いました。学科は独学でこつこつやっていましたが、
特に製図試験の学習ではたくさんの同志と一緒に合格を目指したことで今でも気軽に話せるつながりができました。
こういう職場を超えたつながりはそうそうないので、とてもいい刺激になります。
勉強する習慣が身につく

ぼくは学科試験から一日2〜3時間の学習を続けてきました。
その習慣は試験終了後の今でも残っていて
空いた時間があれば勉強したり本を読んだりしています。
その成果もあり、一級建築士を終えてから始めたTOEFLという英語の試験では95点(TOEIC換算950点以上)の高得点を取得することができました。
時間とお金のムダ遣いをしなくなる

日々の多忙な実務の中で、限られた時間とお金を使って勉強効率を最大化するということを数年続けると、
時間とお金のムダ遣いをほとんどしなくなりました。服装も迷いなく選んで時間を節約したりしています。
受かってしまえば貯金も着実に増えますし、金銭的、時間的なメリットは計り知れません。
就職・転職しやすくなる

ぼくは一度転職活動を断念した経験があります。
理由は建築業界で転職するなら、一級建築士がないと
待遇があがらないことがわかった為です。
このことが僕を一級建築士の資格取得に向かわせた一つの動機でもありました。
【すべてやめてOK】結局転職できなかった建築士が気付いた転職に無益な行動4つ
更に実務経験を積むことでより高度な資格を目指せる
一級建築士を取得して所定の実務経験を積むと、
構造設計一級建築士や設備設計一級建築士を受験できるようになります。
また、技術士や宅地建物取引士などの資格でも、受験科目の免除が適用されます。
設計能力が上がる
製図の試験準備では、短時間で要求を満たした建築物の設計をする訓練します。
2時間半で効率よくエスキスを終えるプロセスや、各室の寸法体型の理解、
グリッド割の基本や問題文を注意深く読むスキルは実務でも有効になってくる能力です。

また、製図は文字や図面の美しさも印象につながるポイントなので、
製図試験を経て、字がかなりうまくなった実感があります。
字が綺麗かどうかは実は合格に直結するポイント。
試験になかなか受からない人はもしかすると字が汚いのかも?
あなたも該当者?1級建築士試験に落ちる人の30の特徴を一級建築士が解説
一生使える勉強道具に出会える
ぼくは試験を乗り切るために自分の好きなデザインの筆記具やノートなどをいろいろと試しました。
その結果自分が最も勉強しやすいスタイルや、文房具に出会えました。
[st-kaiwa]ぼくの定番は、ノートはモレスキン、ペンは2色フリクションでした。[/st-kaiwa]
愛着のある道具は、一級建築士に合格したあとでも長く使えるもので、このツールとの出会いも
一級建築士に挑戦して得られたものの一つだと思います。
僕が愛用していた道具についてはこちらの記事にまとめています。
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まとめ「一級建築士意味ない」はウソ!取得するメリットは多い!

以上のように、一級建築士を取得するにはたくさんのメリットがあり、またデメリットについても
生活や勉強方法を少し見直すだけでデメリットではなくなることがわかったかと思います。
結論、学科は独学+アルファで製図は製図学校という選択肢がコスパがよいです。
僕自身は学科試験を独学、製図は大手の資格学校に2回通うことで、無事合格することができました。
まだ一級建築士に挑戦しようか迷っている方がいましたら、ぜひ僕の受験経験談に目を通してみてください。
微力ながらきっとお力になれることかと思います。みなさんの合格をお祈りしています!