こんな疑問にお答えします。
本記事の内容
映画好き現役建築家の僕が、巨大建造物アーコロジーとSF映画について解説します。
-
- アーコロジーとは
- アーコロジーの実例
- アーコロジーを舞台にした映画
本記事を読めば、SF映画などに出てくる建築物などをより俯瞰的に理解することができますよ!
「アーコロジー(アルコロジー)」とは?
アーコロジーとは、あまり聞き慣れない言葉ですが、
都市機能や、住居機能を備えた建造物のことです。
ディストピア小説や、SF映画などをイメージするとわかりやすいですね。
アーコロジー(「アルコロジー」又は「完全環境都市」とも。英:arcology)とは高い人口密度で住人が居住している建造物のこと。狭義としては生産・消費活動が自己完結している建造物のことであり、広義としては都市に匹敵する人口を内蔵する建造物のことを言う。
引用:Wikipedia
アーコロジーは、建築家パオロ・ソレリ(Paolo Soleri)による造語で
建築「Architecture」+生態学「Ecology」を足し合わせて作られています。
「アーコロジー」提唱者パオロ・ソレリとは?
名前 | パオロ・ソレリ|Paolo Soleri |
生年月日 | 1919年6月21日 |
出身 | イタリア,トリノ|アメリカ |
代表作 | アーコサンティ,メサシティ |
パオロ・ソレリは日本ではあまり馴染みのない建築家ですが、
師はなんとあのフランク・ロイド・ライトなのです。
彼ははライトの問題意識や自然観を受け継ぎ、車社会からの脱却を目指します。
そこで辿りついたのが、生産と消費が自己完結し、
職住近接で車不要、サステイナブルな建築と都市像「アーコロジー」でした。
彼は、この「アーコロジー」実現の為、後述の「アーコサンティ」をスタートさせます。
パオロ・ソレリ代表作:アーコサンティ|Arcosanti
アルコサンティは、50年以上前にスタートしたプロジェクトですが、
なんと住民たち自らの手によって現在も作り続けられています。
アーコサンティの特長
- パッシブデザインに配慮した建物配置
- ユニークなコンクリート造形とテクスチャ
- 居住者はコミュニティ内で自給自足
- ワークショップや見学可能
公式サイトではアーコサンティ内での
ワークショップの案内なども行っているようです。
その他の「アーコロジー」プロジェクト
アーコロジーを目指すプロジェクトはアルコサンティ以外にも実は世界中に存在しています。
今回は世界のプロジェクトから5つをピックアップしました。
- クリスタルアイランド|Crystal Island
マスダールシティ|Masdar City
順番に紹介していきます!
順番に紹介していきます!
シティグループ・センター|City Group Center
ハリー基地|Halley Research Station
東京バベルタワー
順番に紹介していきます!
①クリスタルアイランド|Crystal Island
ロシア・モスクワで計画されていたこちらのプロジェクトは、高さ400M程度で
500名の生徒を収容する学校、オフィス、商業施設、住居などを統合したアーコロジーです。

LADDER
ノーマン・フォスターによって計画され、
着工までされていたようですが
2009年リーマン・ショックの影響で現在は延期になっています。
荒唐無稽な山形をしていますが、ふと、「地域社会圏モデル」という
建築家による共同体提案みたいな企画があって、そこで3名の提案がみんな
「山」だったことを思い出しました。
リンク
②マスダールシティ|Masdar City
アラブ首長国連邦のこちらの計画もノーマン・フォスターによるものです。
2006年に開始され、8年後の2014年には完成している予定でしたが、
こちらも世界恐慌の影響で規模縮小となり完成は2030年に延期となっています。
③シティグループ・センター|City group center
シティグループ・センターは601レキシントンアベニューとも呼ばれています。
24階 から33階までが住棟になっています。こちらの住人は、こちらのタワー周辺内で
ショッピングやジムといったサービスを受けることができる為、外に出る必要がありません。
これはある意味で生産、消費が完結しているアーコロジーの一種とみなすことができます。
設計は神奈川のランドマークタワーで知られる
ヒュー・スタビンスHugh Stubbinsです。
構造設計はウイリアム・ルメジャーWilliam J.Lemessurier で
彼の設計エピソードを取り上げたこちらの記事も面白かったです
④ハリー基地|Halley Research Station
厳しい気候下における長時間共同生活のためのシェルターである
南極観測基地「ハリー」もある意味でアルコロジーです。
こちらは英国のRIBAが2004年度にコンペを開催し、
「ヒュー・ブロートン・アーキテクツ」が設計権を勝ち取ったようです。
参考:GLOBE+
⑤東京バベルタワー
80年代から、バブルが弾ける90年代前半にスーゼネが競って計画していた超超高層ビルの流れから
計画されたのが、なんと高さ1万mの「東京バベルタワー」です。
こちらは1992年に早稲田大学教授の尾島俊雄氏によって計画されています。
バブルを少々した野心的提案にネットでは「バブルタワー」と揶揄されているようです。。
参考:https://tower-ten.jp/tokyobabeltower/
「アーコロジー」が舞台の映画5選
ここからはフィクションである、
映画の中のアルコロジーを5つご紹介します!
- マトリックス
- スターウォーズ
- リベリオン
- ブレードランナー
- ロスト・エモーション
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アーコロジー映画①マトリックス
監督 | ウォシャウスキー姉妹 |
公開年 | 1999年 |
上映時間 | 136分 |
あらすじ
「バウンド」で監督デビューを果たしたウォシャウスキー・ブラザースによる新感覚のSFXで彩られた重厚かつスタイリッシュなアクション巨編。ニューヨークの会社でしがないコンピュータプログラマーとして働くトマス・アンダーソンには、裏世界の凄腕ハッカー“ネオ”というもうひとつの顔があった。ある日、“ネオ”はディスプレイに現れた不思議なメッセージに導かれるまま、謎の美女トリニティと出会う。そして彼女の手引きによってある人物と接見することになった……。
引用:Yahoo!映画
マトリックスでは、核兵器で地球上を退廃させてしまった人類が
ザイオンというアーコロジーを地下深くに建設しています。
(ちなみにウォシャウスキー兄弟が姉妹になっていたことには驚きました。。)
アーコロジー映画②スター・ウォーズ エピソード1 ファントム・メナス
監督 | ジョージ・ルーカス |
公開 | 1999年 |
上映時間 | 133分 |
あらすじ
世界中が待ちこがれていた「スター・ウォーズ」サーガの序章。舞台は前3部作からさかのぼること約30年、ダース・ベイダーことアナキン・スカイウォーカーの少年時代を描く。通商連合の調査に向かったジェダイ騎士は、その背後に銀河征服を企む暗黒卿の存在を知る。ジェダイ騎士のクワイ=ガン・ジンとオビ=ワン・ケノービは、砂の惑星タトゥイーンでひとりの少年アナキンと出会う。アナキンに秘められたフォースの力を感じ取ったクワイ=ガン・ジンは、彼をジェダイ騎士団に入れようとするのだが……。
引用:Yahoo!映画
スターウォーズシリーズに登場する「タトゥイーン」という砂漠の中のコロニーは
実は、冒頭でご紹介した、パオロ・ソレリのアーコサンティがモデルなのです。
参考:WIRED
他にもアーコロジー的な空間だらけなので、興味があれば探してみてください。
アーコロジー映画③リベリオン
監督 | カート・ウィマー,(ヤン・デ・ホン プロデュース) |
公開 | 2002年 |
上映時間 | 106分 |
あらすじ
第3次世界大戦後、生き残った指導者たちは戦争勃発の要因となる人間のあらゆる感情を抑止させるべく、精神に作用する薬プロジウムを開発。これを国民に毎日投薬することを義務づけ、徹底した管理国家体制を敷いた。反乱者は、クラリック(聖職者)の称号を持つプレストンを中心とした警察に厳しく処罰される。銃を用いた武道ガン=カタの達人でもあるプレストンは、冷徹に任務を遂行する非情の殺人マシンだった。だがある日、誤ってプロジウムの瓶を割ってしまった彼は、仕方なく薬を投与しないまま仕事を続けてしまう…。
引用:Yahoo!映画
「スピード」などで知られるヤン・デ・ホン監督が監修する本作では、
治安維持を目的とした強制投薬によって
居住者の感情が抑制された人類最後の文明「リブリア」がアーコロジーにあたります。
設定としては、後述する「ロスト・エモーション」に似ていますね。
アーコロジー映画④ブレードランナー
監督 | リドリー・スコット |
公開年 | 1982年 |
上映時間 | 117分 |
あらすじ
P・K・ディックの『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』を原作に、近未来を舞台に展開するアンドロイドたちの物語を描いたSFサスペンスで、その卓越した近未来描写により、多くのファンを持つカルト作品。植民惑星から4体の人造人間=レプリカントが脱走した。彼らの捕獲を依頼された“ブレードランナー”デッカードは、地球に潜入したレプリカントたちを追うが……。
引用:Yahoo!映画
SF映画の巨匠リドリー・スコット監督の本作にもアーコロジーは登場します。
こちらのピラミッド型の巨大建築は、架空企業である
タイレル社|tyrell corporationの本社が置かれるアーコロジーです。
アーコロジー映画⑤ロスト・エモーション
監督 | リドリー・スコット |
公開年 | 2012年 |
上映時間 | 102分 |
あらすじ
人類史上最大の戦争によって陸地の99.6%が破壊された近未来。生き残ったものたちは、遺伝子操作を施した感情のない人間の共同体<イコールズ>をつくった。そこでは、感情を“発症”してしまった者は「欠陥者」と見なされ、安楽死させられるのだった。そんな中、サイラスは自分の中にある感情を自覚し、同僚のニアと外の世界への脱出を試みるが…。リドリー・スコットが放つ、近未来SFサスペンス。
引用:「Oricon」データベースより
「ロスト・エモーション」の遺伝子操作で感情を排除した人間の共同体である
「イコールズ」には住居や教育機関もあり、アーコロジーの一種であると言えるでしょう。
安藤忠雄や山本理顕といった様々な名建築家が手掛けた施設での映像美も必見です。
まとめ
アーコロジーという概念はあまり世間的に浸透はしていませんが、
SF映画のような空間居住を実践している場所があることには驚きですね。
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